青い海と空のみちのく八戸から 波動はるかに 第7回 未知との遭遇;ストリートダンスと「朝顔の日々」。
QRコードから項目に書き入れて、送信ボタンを「エイ!」と押した。『定員は20人』応募多数の場合は抽選という。その日から、抽選に受かるように祈る。体が少しでも動くように、家の中で自主練を開始した。廊下を歩くときは背筋を伸ばして足を丁寧に運ぶ。全身の柔軟は「朝顔の日々」体操と称して、我が家の狭庭に毎朝咲き誇る蒼い朝顔「ブルーヘブン」が、土壌の種からむくむくと弦を伸ばし、葉をつけ、開花する日々の変化を体現しようと努めた。弦が屋根までも伸び、夥しい葉を茂らせ、大量の蕾からやがて紅い、蒼い朝の顔が輝く。身を固く閉じながら光とともにその身をゆっくりと捩じるようにまわしながら、可憐に開く。日々のムーブメントの連続はダンスそのものであり、その軌道は私の身体を駆け巡っていた。朝起きると、青空に朝顔の蒼が沁みて胸が痛むほど美しく、限りなくシュールな「ブルーヘブン」を、私は日々踊っていた。
大阪の主催本部から封書が届いた。『参加決定』の字に飛び上がって歓喜のダンス。やがて当日11月4日(月・祝)が来た。動きやすい服装とシューズでタオルと水を持参して、会場に向かった。
八戸ポータルミュージアム「はっち」2階シアター2の受付に近づいていくと、未知の空気が漂っている。保護者に付き添われたこどもたち、高校生らしき学生たちが並んでいた。主催者スタッフは慣れた感じで受付を進め、「MASAKO」の胸に貼るA4カードが渡された。中に入っていくと、ギャル(?)小学生4,5人が激しいステップで連舞している。「それぞれ自由にエクササイズしてください」と主催者の声。『エクササイズ~って何・・』内心私は焦りながら、ゆっくり見回すと、隣の男子と目が会った。「何年生ですか?ダンス習っているの?」彼は笑顔で目をキラキラさせて、小学5年生で三沢に住んでいる、ダンスはストリートとアクロバット(と私には聞こえたけれど違うかも・・)を同市と奥入瀬町で週3回習っている、という。「Ryusei」のゼッケン。話をしながらエクササイズが同調していくにつれ、私の身体と心のこわばりが少しづつ弛緩していった。それにしても未知の窮地で、彼の爽やかなアイコンタクトとスマイルで、なんとか身体が前に向いた。